ソープのボーイを辞めたいが辞めさせてくれない〜罰金などと退店の悩み


ソープランド(性風俗関連特殊営業)などの風俗営業法の対象となる業種は、一般に社員の出入りが激しく、労働条件もブラックなことがままあります。ソープランドは、比較的、長く営業をやっている店が多いので、近年、急速に増えた派遣型風俗に比べてわりと安定しているようにも思えますが、しかしブラックな職場はやはり一定数あり、店を辞めさせてもらえないという相談は、ちょくちょくあります。

 

事例としては、

 

キャストの女性の送迎中にラインの連絡先を交換したことがばれて、高額な罰金を言われた。給料から高額な金額を天引きされている。念書も書かされていて辞めたら訴えられるかもしれない。

 

風俗店で働いていることは家族に内緒だが、店長から、罰金を払い終わる前にやめたら、家族に連絡するぞと脅されている。

 

退店を申し出ていたがラインをキャストと交換したことがばれ、ペナルティとしてあと半年辞められないことになった。罰金はない。しかし、半年たっても、〇〇ちゃんの売上が下がったのはお前のせいだ、辞めるなら損害賠償しろなどと詰められ、退職を了承してもらえない。

 

などです。

 

それでは、順次、チェックポイントをみていきましょう。

 

 

 

1、退職は1ヶ月以上前に予告しないと訴えられるか?


 

多くの場合、風俗営業関連の店は、退職について1ヶ月前に予告するということが規則になっています。担当している業務の引き継ぎや、人の配置の都合がありますから、店としてもこれくらいの期間はほしいというのが本音でしょう。

 

しかし、中には、店長のあまりにもパワハラがひどくてすぐに辞めたい、募集時の条件より給料などが悪いからすぐにでも辞めたいなどの理由があることが少なくありません。そうした場合、1ヶ月前より早くやめると訴えられることがあるのでしょうか。

 

1ヶ月というのは、法律で決められた条文ではありません。

就業規則で仮に退職時は1ヶ月以上前に予告するということになっていても、法律上は、2週間前に契約の解除を申し出れば、2週間経過した時点で契約は終了になります。

 

1ヶ月というのは、あくまでそのくらい余裕をもって申し出てほしいという期間で、それより早く辞めても法律違反の責任を問われることにはなりません。もっとも、円満に辞めるためには、できるだけ余裕をもって退職を申し出ることが望ましいのは言うまでもありません。

 

では、パワハラを受けているような場合はどうでしょうか。その場合は2週間も待てず、1日でも早く辞めたいかもしれません、

 

パワハラの内容にもよりますが、たとえば暴力を受けるといった度を超えた事情があれば、その日のうちに退職をしてもやむを得ないでしょう。ただし、その場合は店側に法的責任があることが証明できるよう、怪我の写真をとっておく、後日、診断書をとれるよう病院で診察を受けておくといった対策をしておきましょう。

 

暴力ほどではないが、パワハラや店の違反があり、早く辞めたいという場合も、店が違反をしている証拠はできれば保存しておくことをおすすめします。

 

そのほか、休日がまったくない、残業時間が毎月100時間をはるかにこえて体力がもたない、暴言がひどくて耐えられないなど、労働法違反やパワハラに関連するものは、できるだけ証拠になるようなものは保存して、はやめに外部の機関に相談しましょう。

 

なお、提示された給料より低い給料で働かされたなど、労働条件が当初の契約と違う場合も、そのことを理由にただちに退職する正当な理由になります。

 

 

話を戻しますと、一般的には、まずは辞めるにあたって、労働者として最低限の常識的な対応はふんでおきましょう。退職の申し出はできるだけ余裕をもって申し出ましょう。

それに対して店側が不当に労働を強要しつづける、労働法を守らないことをしている場合は、そのときは、退職を強行する準備をしましょう。

 

 

 

2,高額な罰金のせいで辞められない、罰金の効力は?


キャストを送迎するときに会話がはずんでライン連絡先交換をしたことがばれ、違反だから100万円の罰金と言われて念書を書かされた!!

毎月給料の50%を天引きされ、辞めたら親に連絡して払わせると脅されている・・・・・・

 

風俗業界では、よくあるお話ですね。

しかし、このような法外なペナルティは、法律で禁止されています。

 

基本的に社員であれば、労働者としての法律の適用を受けます。

平たく言うと、労働基準法で、労働者はかたく保護されています。

 

たとえば、入社時の契約書や誓約書に、キャストと私的に交流したら違約金100万円といったような文があったとしても、これは労働基準法違反で無効となります。そればかりか、賠償の金額を予定すること自体が、刑事処罰の対象にもなります。これは意外と知らない経営者が多いです。

(店に実際に損害を与える事をした場合に、店が損害賠償を請求すること自体は問題ありません。あらかじめ損害賠償や違約金の額を決めるのが違法です。)

 

なので、入店の際の契約書をベースに罰金100万円と言われているのであれば、100万円という額には何ら法的な拘束力はありません。

 

ただ、他店に引き抜き行為をしたとか、セクハラ行為でキャストが辞めてしまったという場合は、損害賠償請求自体の正当な理由にはなりますから、そこはごっちゃにして考えないようにして下さいね。

 

なお、労働基準法とは別に、風俗営業適正化法においても、高額な債務を負わせて働かせることを禁止しており、違反すると店が処罰や処分を受ける事由になります。

 

 

 

3、借用書を書かされた場合は、どうなるか


入社時の雇用契約書とは別に、罰金について借用書などを作っていると、話が少し複雑になってきます。店が労働法違反になることをわかっていて、あえてお金を貸したことにして書類をとった可能性があります。

 

しかしながら、私見もはいりますが、実際に、店が100万円を返済せよといった裁判をしてくることは、ほぼないと思います。

 

なぜなら、店が労働基準法違反や風俗営業適正化法違反をやっていることが証明されたら、営業停止になったり処罰を受けたりするリスクがあるからです。まともな経営者であれば、そうしたリスクをおかして裁判をすることは考えられません。実際、そういうケースを聞いたことがありません。

もっとも世の中には、普通では考えられない人もいますから、絶対ではありませんが、あくまで可能性としては、非常に低いお話と言ってよいと考えます。

 

なお、罰金を給料から天引きするといって、例えば50%も天引きするようなことも違法です。合法的な「減給」は大前提として、まず店の就業規則があり、そのなかに減給処分の条文があることが必要です。そして、そのうえで、月給から天引きできる上限は給料総額の10%までです。

 

仮に月給20万円で10万円の減給がされるとしても、月に2万円までしか引くことはできません。残りの分は、翌月以降の分から2万円ずつ引いていかなければいけません。(もっとも、10万円という金額も普通ではありませんが・・・あくまで仮定のお話として聞いて下さい。)

 

このように、労働者が生活できなくなるような減給は、労働基準法で禁止されています。

 

次に辞めたあとの生活費の心配があると思いますので、失業手当についても少し触れておきましょう。

 

 

 

4、失業手当(雇用保険上の『失業等給付』〜『基本手当』)は、もらえるのか


風俗営業店だと、社会保険がちゃんとしてないところが多いようなイメージもありますが、労働者を雇う場合、会社は雇用保険に必ず入らなければいけません。

なお、もし会社が雇用保険を払ってない場合、最低2年さかのぼって適用される可能性があります。

 

失業手当の要件は、ざっくりですが、だいたい辞めた日以前の2年間のうち12ヶ月以上の被保険者期間(ブランクが1年以内なら転職前も通算して1年以上)があれば、失業手当の対象になり得ます。

 

たとえば、基本的に辞めまで12ヶ月以上働いていればOKです。転職した場合は、転職のブランクが1年以内であれば転職前の期間も通算して12ヶ月以上であればOKです。

ただし、前の転職のとき、すでに失業手当をもらっていた場合は、それ以前の期間は12ヶ月の中にカウントすることはできません。

 

なお、アルバイトなどで、週20時間未満労働は失業手当の対象になりません。

 

以上は原則論で、くわしくは雇用保険法のこまかい内容になってくるので、ご自分が対象になるかどうか判断が難しい場合は、一度相談されてみて下さい。(基本的なことでメール電話のご相談は無料です。)

 

 

 

5、退職の事実に関する証明を残す


 

1ヶ月前にやめるとちゃんと伝えた、なのに法外な罰金を引かれて半強制的に働かされている、脅されて何度も引き伸ばされてしまう・・・・・・

 

さて、いよいよ、このような状況で、やむを得ず強行的に辞める場合の対処法を提示します。

 

基本的に、退職するには、退職の事実と退職日を確定させる必要があります。

 

社会保険の資格の切り替えの手続きがありますし、失業保険をもらう場合もいわゆる「とんだ」とか「バックレる」といった状態では不利になることがあります。ちゅうぶらりんの状態だと、次の転職先でも社会保険の手続きで影響を受けるかもしれません。

 

また、ブラックな店なら、そのまま黙って辞めた場合、無断欠勤をして迷惑をかけた、罰金を払えなどと言ってくるかもしれません。

ひどい店だと、親にところへ行くぞ、などというケースもあります。(まれですが。)

 

そのような場合は、われわれのような士業の事務所から、退職の通知書を出しておくといろいろ有利です。

 

この場合、配達証明をつけ、内容証明郵便で送ります。

 

内容証明郵便というのは、いつ、どのような文書を出だしたかを郵便局が証明してくる郵便です。3部作成して1部が郵送され、残りは本人用控えとして謄本に証明スタンプが押され、郵便局にも同じ謄本が保管されます。

 

暴力を受けたり、違法な罰金を課されたりしている場合は、その経緯と関連する法律も書き込んでおきます。

 

このようにして辞めれば、強行的にやめざるを得なかったとしても、退職の事実、退職日が公的に証明され、退職後の店の不当要求をけん制することにもつながります。退職の経緯と法律にふれておくことで、店側に責任があったという記録にもなります。

 

このほかにもいろいろ悩みはあるかと思いますが、一人で悩んでおられる方は、一度、下記の窓口からメールや電話で相談されてみてください。

一人でかかえこむより、案外、簡単に事が済むことが多いです。

 

 

 


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